新卒から1年間、「会社」で働いてみた。
考え方が、ひねくれにひねくれている。
そんな私が、一年間も「会社」という組織に属して右に倣えをしているというのは、当事者である自分自身がいちばんおどろいている。
思えば一年前の大学4年生のとき、ゼミに熱中し就活をまったくせずに卒論に明け暮れていた。
さて進路はどうするか、そんなことを考え始めたのは卒業式あたりだった。
大学院にすすんで勉強したい気持ちは強かった。
しかし、いわゆる世間体に負け、結局「とりあえず正社員」という道を選択してしまったのだ。
新卒一括採用という闇に包まれているこのご時世、大学4年生の2月後半に「新卒」の採用を行っている会社などそうなかった。
しかたがないので、中途採用サービスの中から「新卒も歓迎」の記載がある企業の中から適当に応募し、内定をいただいたわけだ。
「とりあえず正社員」のはじまりだ。
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とても小さく、古くさい会社だ。
年齢層の高いおじさんだらけ。
「ゆとり世代」と揶揄される若者はわたしひとり。
「女」はわたしひとり。
「大卒」もわたしひとり。
同期がいないこと、同じ価値観共有できる仲間がいないこと
まともな話ができる相手がいないことは思った以上に苦痛だった。
「若い新卒女が入ってきた」というだけで、
さびれた職場は異様な昂揚感に満ちていたし、
わたしの一挙一動が、おじさんたちにとっては物珍しく映り、
常に好奇心に満ちた視線に晒され続けていたのが何よりも不快であった。
最初のうちはそんなおじさんたちのご機嫌取りもがんばっていたし
おじさんたちと壁ができないように、
「えー!そうなんですかぁ!」「すごいですぅー!」と媚態を使っていた。
おじさんたちは上機嫌でセクハラパワハラし放題。
お局さまは嫌味をチクチク言い放題。
だんだんわたしは耐えられなくなり、
常に吹き零れ寸前のヤカンのように、
いつ爆発してもおかしくない状態にあった。
そんな精神状態が続き、ある日突然スイッチが切れたかのように
媚態を使わなくなった。(というより、精神的に余裕がなくなり使えなくなった。)
上司たちお得意のイジリもシカトし始めた。
上司のくだらない話には一切笑わなくなった。
精神衛生上、これがいちばん楽だ。
おかげさまで、「新卒女」は「腫れ物」に昇格した!
(ててててーてーてーてっててー!)
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正直、こんなくだらないおじさんたちのために精神をすり減らしてばかばかしい、と、
とっくに会社をやめようと思っていた。
もともと社会が求めるような「素直・真面目・謙虚」とは、
日本とブラジルほどかけ離れているわたしである。
それでは、なぜ辞めないのか。
仕事自体はそんなに嫌いではないし、自分の裁量で仕事を進められるのが快適だった。
残業もほとんどなかった。
そして何よりも、自分が身に着けたいと考えている力をつけられる環境・設備が
十二分に整っていた。
勉強をしながらお金がもらえる環境は、今の私にとってありがたい。
将来どう生きるにせよ、資本主義である限りお金は必ず必要になってくる。
おじさんたちがくだらない猥談をしているあいだ、
わたしはいつ会社をやめても生きていけるようにスキルを磨き勉強し続けている。
「コミュニケーション能力」とか反吐がでるような抽象的なものではなく、
属会社のスキルではなく、どこでも通用する目に見える力はつけておいて損はないはずだ。
今は会社が従業員を使い捨てにする時代であり
従業員が会社を使い捨てる時代でもある。
終身雇用制度はとっくに死んでいる。
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ここは、そんな境遇に置かれているわたしの日々を綴る場所だ。
会社に対する疑問や、等身大の自分が感じたことなど。
稚拙ながらも、共感してくれるだれかがいますように。